ひまわりBちゃんのよもやま話

小さい島で生まれて、今は九州本土(長崎)で暮らしています。寅年の還暦女です。母で、妻で、嫁で、現役助産師『ひまわりBちゃん』の日々の出来事を綴ります。共感していただけたら幸いです。

禁煙外来①

こんにちは。 ひまわりBちゃんです。

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梅雨ですね。

毎日いろんなことがありますね。

今日は、短編小説を書いてみました。

ご笑覧いただければ幸いです🙇‍♀️

 

禁煙外来

毎月はじめに、一定の金の入った封筒がポストに届けられる。彼と社会を繋ぐ唯一の細い糸だ。

それを持って彼は家を出る。金が入ってから、とツケた未精算の診療費を支払うためだ。そしてまた、診察を受けるためだ。

歩いて向かったビルに貼られているたくさんの広告の隙間から、さりげなく己の存在をアピールしている赤色のゴシック文字、禁煙外来。

「煙草は癌のもと!」「離脱しよう!」そんな笑顔のキャラクターが、彼の心をいっそう陰鬱とさせる。

では彼はなぜ禁煙しようと思ったのだろう?

答えは単純、褒美が出るからだ。その褒美のために彼は薬もギャンブルも酒も女も辞めた。努力、苦しみ、つらさ。何にでも耐えてやると誓ったあの日から、5年が経つ。全てをひとつずつしらみ潰しに辞めてきた。

あとは煙草だけ。もうすぐだ。もうすぐ。

病院の自動ドアが開く。彼はフラフラと脚を踏み入れ、受付に保険証と診察券を出し、保険証を返してもらい、その目的の「禁煙外来」を目指す。

 

月一のこの外来では、呼気の一酸化炭素の量を測り、それから医師と面談し、薬をもらう。

医者が嫌いな彼だったが、あの類の出来の良い人間は、ちゃんと言うことを聞きそれを実行すれば、特に怒りもせず小言も言わず手早く家に帰してくれるのだ。ーーー彼のようなヘビースモーカーにとっては、言うことを聞く、というのがとても厄介であるのだがーーー実に彼はこの3ヶ月に限れば、ずっと優等生だった。

 

たどり着いた第五待合室で、金の入った封筒だけを持った彼は、並べられた椅子に座って名前が呼ばれるのを待つ。他人は本だのスマホだのゲームだのを読んだり弄ったりしていたりするが、彼は残念なことにそのいずれも所持してなどいなかった。

封筒を持った手元を眺める。学生時代に皮膚を余すところなく入れた刺青の己の両腕を、ただ汚いと思った。

 

「お兄さん、アルコール?」

楽しげに話しかけてきたのは、どぎついピンク色に髪を染め、顔中にごちゃごちゃとピアスをした青年だった。腕には刺青ではなく無数の傷跡が走っていて、ケロイドになっている。そして、酒臭かった。

関わりたくなかった彼は、「煙草」と短く返事をした。

 

(明日に続きます)

お読みいただきありがとうございました。

明日もいい日になぁ〜れ😊。

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