ひまわりBちゃんのよもやま話

小さい島で生まれて、今は九州本土(長崎)で暮らしています。寅年の還暦女です。母で、妻で、嫁で、現役助産師『ひまわりBちゃん』の日々の出来事を綴ります。共感していただけたら幸いです。

禁煙外来②

おはようございます。

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禁煙外来②

「へえ。大変だね。ねえ俺ら、全員アル中なんだ」

青年は遠くの席の四人の仲間を指差し、「ウケるでしょ」と言った。

「院出てからずーっと毎日母親がここ連れてくんの。でも俺いつも酔ってるからさあ、先生全然相手にしてくんねーんだよね。」

 

ケラケラと青年が笑った。その両目が虚ろだった。同じだ、と思った。過去の自分と。

もしかすると今の自分とも同じなのかもしれない。愛情、痛み、自己、逃避、孤独。青年もここに座る患者達みんな、自分に足りない何かを探しているのだろう。依存症というのは、足りないからそうなるのだ。満ち足りていたらこんなに人生を彷徨うことなんかない。人生とは長い長い拷問なんだ。死んでしまえばきっと何でもないんだろう。しかし何でだか、苦しむ人間の大半は自ら死を選ぶことを選択肢に入れない。なぜか?なぜ人は生きたがる?

人間は楽な方を選ぶ。彼の持論だ。死ぬことは苦しい。だからみんな生きる。死ぬことより生きていることの方がつらくなった時、人は自ら人生に幕を引く。「あながち間違ってないだろ?なあ神様。」そう呟いたあと、彼は自分を嘲笑った。「なあ神様」、なんて。

 

当たり前だが、治す気がない患者を治せるほどここの病院は優秀じゃない。

 

「俺に構わないでくれ」

俯いてそう言うと、青年はつまらなそうな表情をして席まで戻り、仲間と品のないバカ笑いを始めた。自分ももう少し若かったらこんな感じだったのだろうか......。

青年たちがひどく不憫に思えた。いずれ大人になってしまえば分かる。君たちは自由じゃない。若さという籠の中に飼われているだけだ。その籠の扉が開き外に出て初めて自由になる。与えられていた餌やまどろみ、遊び、眠り、全てが奪われる。気づいた時には地に落ちている。籠の中で使わなかった羽は、飛ぶことを忘れてしまっているのだ。

 

「16番の番号札をお持ちの方、診察室にいらしてくださーい。」

間延びした看護師の声がした。みんなモゾモゾと自分の番号札を確かめる。彼も手元の番号札を見た。16だった。

 

(明日に続きます)

お読みいただきありがとうございました。

明日もいい日になぁ〜れ😊。

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