ひまわりBちゃんのよもやま話

小さい島で生まれて、今は九州本土(長崎)で暮らしています。寅年の還暦女です。母で、妻で、嫁で、現役助産師『ひまわりBちゃん』の日々の出来事を綴ります。共感していただけたら幸いです。

グレイトジャーニー② (不登校引きこもりの私が外に出たきっかけ)

こんばんは。

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小さな思い出話です。

ご笑覧いただけますと幸いです。

グレイトジャーニー②

「悪くない」とひとりごちるように仰るのを見て、私は少し安堵しました。

自信はありましたが、本当に先生が喜んでくださるかどうか、ずっと不安でいたことに、私は安堵してから気付いたのです。

先生と私の計画性の無さや趣味趣向、性分の根源はどこか似通っていると、畏れながら、ずっと私は思っていました。それでなければ、いくらなんでも一時間半の電車の待ち時間を、駅のホームで立って過ごすなんて野暮はしないのです。

 

先生は、「都会だがこんな粋な店があるとは。」とか、「都会だから粋、という方が正しいかもしれないなあ。」などと小さく言いながら、この店で随分とくつろいで見えました。独り言を言うのは、先生の若い頃からの癖なのだと、いつか先生の奥様に伺ったのを覚えています。

そうやってゆっくりしていると、老オーナーが温かいコーヒーをふたつ持ってきてくださいました。

 

「有難うございます。ところで、アルバイトを募集してみたら如何ですか?」

先生が老オーナーにお尋ねになりました。老オーナーは、

「賄えるだけの儲けはありませんよ。趣味でやっているだけです。」

と笑われました。

「やや、失礼。」

「いえいえ。すぐ嫁がカレーをお持ちしますから。」

終始にこやかな顔でそう言うと、老オーナーは下がり、キッチンのカーテンの中に入っていかれました。店内ににわかにカレーの香りが漂い始めました。

 

「君、コーヒーを飲まないのかね。」

未だ湯気の立つコーヒーに手をつけていない私に、先生が仰いました。

「冷めるまで待ちます。猫舌なので。」

答えると、

「はっはっは。そうか、君は猫だったか。」

と先生はお笑いになりました。

「忘れていたよ。君は猫だったな。でもそうやって香りを楽しむのも、またいいかもしれない。」

ご自分自身に言い聞かせるように先生は呟かれました。

 

「先生のお宅で初めて頂いたジンジャーティーの味を忘れたことはありません。」

カップをひと息ふうと吹いて、私は先生と目を合わせず言いました。目を合わせると、丸裸にするように先生は人の気持ちを読み取ってしまうからです。

「あの頃の君は、ものぐさだったな。」

愉快なことのように先生は仰いました。

 

「そして賢かった。」

「過去形ですか?」

「へりくつを捏ねることにたいしては、今もですね。」

「そんなあ。」

 

私たちは少し笑い、それぞれのコーヒーを啜りました。

 

かつて私は、ほとんど学校に通わず、かといってどこに行くでもなく、食事も摂らず、何もせず、空調のきいた自室の中で、布団にくるまって抜け殻のように生きていました。

 

「先生がお声を掛けてくださらなかったら、私はどうなっていたでしょうね。」

コーヒーのカップを置くと、波打つ表面が天井の裸電球の色に染まりました。

 

昔、近所中で噂の変人の大学教授が、不登校のいじめられっ子に「勉強を教える」と言って聞かなかった....

思い出して、ふ、と可笑しくなりました。

 

「初めてお宅に伺った時、奥様がジンジャーティーを作ってくださいました.」

「あれの作るものはなんでも美味い。」

「ノロケは控えてくださいね、止まりませんから。」

 

先生は奥様のことが大好きなのです。もちろん、私も。

「ジンジャーティーに蜂蜜が入っていたんですよね。」

それがたまらなく美味しかった。その味に惚れ込んだ私は、いつしか先生と奥様の

「あら、いらっしゃい。」の笑顔を見るのが日課になっていました。

 

(明日に続きます)

お読みいただきありがとうございました。

明日もいい日になぁ〜れ😊。

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